column
コンシエルジュの閑話休題

【 第2話 | 2014.6.25 】

フレームを感じる!

よく『スケートに乗る』とか『スケートに乗れていない』とか言うけれど、乗れる感覚がわからないと何を言われているのか良くわからないのが、本当のところのはず。そこで乗れている実感がない人に、ちょっと試してみて欲しいことがある。

それは『足裏のどこにフレームが位置しているのか』を感じ取ること。あ、いや、別にニュータイプでなくても大丈夫。

まずスケートブーツを履いて立った状態、あるいは軽く流して滑っている状態で、ブーツの中で足の指を広げたり、少しだけ反らせてみる。そしてそのまま、足裏の指の付け根のどこにフレームがあるのか位置を探ってみる。フレームの場所がわかったら、足の指をインソールの上にふわっと戻す。

その後、滑り始めるのだけれど、足の指はぎゅっと握るように縮こませたりしないで、できるだけリラックスさせた状態を保ち、必要に応じて足の指でも踏ん張れるようにしておく。なぜなら、足の指が縮こまった状態だと、指の付け根などの足裏の一部(場合によっては足裏の全面積の半分くらい!)がインソールから浮いてしまい、『足裏→インソール→ブーツの靴底→フレーム→ベアリング→ウィール』へと無駄なく的確に力を伝えることができないから。もしインソールが自分の足形に熱成型したものなら、なおのこと足の指を閉じて滑っていたらもったいない!

余談。

力強く蹴るために、つま先部分が広くなって足の指が開きやすくなっているランニングシューズは以前からアディダスが作っていたけれど、最近はいろんな有名スポーツメーカーが販売しているはず。この手のスニーカーは履いて歩くだけでも気持ち良かったりする。

インラインスケートのブーツでこの点を考えて作っているものはないはず。でもブーツ選びをする時に、全体的にサイズが大きいのは操作性を損なうから避けるべきだけれど、『かかとの浮き具合』などと一緒に『つま先のスペース』も迷った時の指標の1つに加えてみる。

ブーツを買い換える予定はないけど、つま先空間が狭くてどうしようもない場合は、インソールを変えてみる手もある。単純につま先部分だけが薄くなっているインソールもあるし、土踏まずのアーチを作ることによってつま先のスペースを広くする方法もある。どのタイプがベストかは人それぞれなので、一概に何がいいとは言えないけれど、手軽につま先空間を改良できる手段の1つ。インソールを交換したことがなければ、懐具合と相談しつつ、試してみては? ちなみに自分は、SIDASの“シティ プラス”や“カスタムレース”を熱成型してもらったものを9年前から使用中。たかがインソールされどインソール、高価だけど、一度足裏とソールの一体感を味わうと、もう他のものは使えません。

さて話は戻って、足裏でフレームの位置を感じ取れたら、フレームの真上に乗ることを意識しながら、柔らかく構えた足裏で、常にフレームを感じてゆっくり長距離を滑ってみる。余裕が出てきたら、次はフレームの傾きを感じてみる。インエッジを使っているのかアウトエッジを使っているのか、それとも真上に乗っているのか。さらには浅いのか深いのか、傾きの度合いも感じてみる。ここまで足裏で感じ取れたら、しめたもの!

十ウン年前にホッケーにのめり込んでいた頃、管理人はアディダスのスニーカーの理論からこのつま先を広げて滑ることに気付いて、しばらくフレームを感じながら滑り続けたことで『乗る』感覚がつかめるようになったのだった。なので、滑り自体は安定しているはずなのにイマイチ真上に乗り切れていない人は、試す価値あり。ブーツを履いたらまず10分、これを数ヶ月続けるだけで(勘のいい人は何回かで)『乗る』感覚が分かってくるかも!

《高田健一》

ライター