column
コンシエルジュの閑話休題

【 第7話 | 2014.7.29 】

工具のステキな感触

当コラムで初めて取り上げるこだわりギアは『工具』。ちょっと外角高めから攻めます(笑

さて、その工具。インラインスケートでは、主に六角レンチやプラスドライバーのことになるでしょう。

そしてそれらに加えて、ベアリング抜きまでまとまって1つになったNiNjaのSTARツールが便利に使われているはず。もちろんこのNiNjaツールも悪くないけれど、やっぱり工具メーカーの六角レンチは使い心地はひと味違うんです。

自分もRollerblade社の三つ又ツールやNiNjaの四つ又のSTARツールをずっと愛用していて、特にトラブルもなく、メンテナンスや増し締めをする時は必ず使っていた。

しかし、転機がやってきたのは2005年の秋。MXの初代Seba Highを履いた時だった。

当時は国内でのSebaのブーツの販売はなく、Seba Highを入手するために韓国のFreewaveに行って買ってきたり、フランスのUniverskateに直接問い合わせて送ってもらったりしていた。当然、替えのパーツを入手するのもひと苦労で、シャフト1本欲しいためにブーツ1足輸入した、なんて話を耳にしたことも。

今のSebaの商品はパーツ1つ1つの品質も良くなってきているけれど、Seba誕生当時は『え”っ!?』という冷や汗を伴う驚きの連続で、パーツの品質も信用できないような状況だった。よく見てみるとシャフトやネジの穴も舐めそうに見える上に、珍しいインチ規格の付属の六角レンチは中国製の安物の雰囲気がムンムン。Salomonのネジでさえ舐めて焦ったことがあったのだから、不安は募るばかり。そんな心配をするくらいならと、他のブーツに戻ろうと思っても、一度Seba Highの抜群の操作感を味わってしまうと、もう前のブーツに戻れないのは多くの方がご存知の通り。 そこでまず、しっかりぎっちぎちに締めたいフレーム固定ネジ用に、Wihaの3/16インチの六角レンチを東急ハンズで購入。これで心置きなくガッチリ締めることも、そのネジを緩めることもできるようなった。実際に使ってみた工具メーカーの六角レンチの安心感と言ったら!しかもドイツ製なのだから心から信用できる。

これで工具メーカーの味を知ってしまい、ウィール固定のシャフト用に、今度はコンパクトで締めやすそうな握りのPBの4mmのクロスハンドル六角レンチを購入した。他メーカーのT型六角レンチに比べて高価だったけれど、六角の棒が穴に入る時の上品な感触、これはもう感動モノ!

良い道具を知ってしまうと、こだわり始めてしまうのが男の性(さが)。緩んだバックルの増し締めでたまに使う普通のプラスドライバーも、先日必要になったPowerslideのフレーム用のヘクスローブドライバーも、ご機嫌な感触のPBのものを購入。

しかし、SebaのブーツとSeba以外のフレームを組み合わせて使用する場合など、フレームの取り付け位置にこだわると、どうしても通常の六角レンチではネジを締められないことがあり、そのような時は、かゆいところに手が届く日本メーカーの工具が重宝する。しかも日本製はお手頃価格なのが嬉しい。

あるいは、テコでも動かないというくらい硬く締まってしまったネジを緩めるには、とにかく頑強なアメリカ製の工具が役立ったりする。

こんな風にいろいろな六角レンチを試した、管理人なりの感想は……。

 欧州メーカー製品:上質。繊細な触り心地で、ネジ穴にスルッと滑らかに心地よくはまる。

 米国メーカー製品:無骨。物によっては荒削り感があるが、ガチっとはまって、見た目から頑丈な雰囲気。

 日本メーカー製品:精密。きっちりカチッとはまって、精巧さを感じる。

いろいろ語ってきたけれど、バッグにひとつ放り込んでおけばOKなNiNjaツールの便利さは変わらないので、今でもインラインスケートでちょっとお出かけする時などに持って行ったりしている。

しかし、家でメンテナンスをする時に使うだけでなく、長時間練習する時に持って行くバッグの中にも、PBなどの工具メーカーの六角レンチが何本も入っている。シャフトやネジ類が予想外の事態になった時は心強いし、ネジ穴がなめるなどの万が一の事態に陥ることのない安心感は何物にも変えられない。家にはベアリング取り外し用のガチャンコマシーンもあるので、家メンテでは一切NiNjaツールの出番なし。

そのような訳で、ブーツに付属しているものやスケートメーカーのツールしか使ったことがない凝り性の人は、ぜひ一度、工具メーカーの六角レンチの使い心地を味わっていただいきたい!

(当コラムの内容はあくまで個人の感想であって、感じ方には個人差があり、また上記の印象に当てはまらないものも数多くあります)

《高田健一》

ライター