column
コンシエルジュの閑話休題

【 第18話 | 2014.10.28 】

なめらか&軽やか 腰骨編《1》

スケートをする時、腰や腰骨をどのくらい意識しているだろうか?

『腰』という漢字は、『月(にくづき)』と『要(かなめ)』の2つから成り立っている。つまり、腰は体の要なのだ。そのくらい大切な部位ということ。

当然、歩き方にも影響してくる。

腰骨が前に倒れ気味の人は内股になりやすく、反対に後ろに傾いている人はガニ股になりやすい。漫画とかでも、猫背で下を向いて歩いている人は内股だし、威張り腐って背中を反っている人はガニ股だ。猫背なのにガニ股、これはちょっと想像しづらい。

このように普段の歩き方にも関わってくる腰骨、インラインスケートの滑りに関係ない訳がない。

まず、第14話で説明した『重心』。この重心を乗せているのが腰、腰骨。腰骨のポジションで重心のポジションが決まると言っても過言ではない。重心を乗せたい足、荷重足の真上に腰骨があるか。言い換えると、腰骨の真下に荷重足が収まった状態で滑っているか。これはスラロームをする上でかなり重要なことである。

上半身は背筋が伸びて少し前傾あるいは軸が出た状態で、的確に重心を乗せた荷重が行われていれば、ブーツをしっかり自分のコントロール下に置いてウィールを転がすことができ、体のバランスも滑りも安定する。しかし、ブーツが腰下から遠ざかるほど、荷重ポイントがずれていくと同時に、ブーツのコントロールもしづらくなっていく。重心位置がベストポジションから離れていけば、それだけ『スケートに乗れていない』ことになり、重心移動する時に態勢を立て直す『よっこいしょ』的な動作も加わって、なめらかな滑りからも遠ざかってしまう。さらには、ウィールがインエッジ側やアウトエッジ側に深く倒れることになり、細かい操作感が失われていく。他にも、上半身がブレやすくなって安定感も失われていき、減速しやすくなってスムーズな加速も難しくなる、などなど。

このように重心が掛かるベクトルの延長上に、しっかりブーツがあるように滑っていくと、『重心移動』もスムーズになり、さらに近々掲載予定の“上半身先行”の動作もやりやすくなるはず。ちなみ“2輪目乗り”をする時は、荷重する方の足の前から2輪目に腰骨を乗せる感覚で滑り、“4輪目乗り”では足首と膝をしっかり曲げて後ろに転ぶことを防ぎつつ、荷重足の前から4輪目の上に腰骨を乗せる。腰骨が分かりづらければ、4輪目にお尻を乗せるイメージ。バックで1輪目に乗る場合は、腰骨あるいはおへそを1輪目に乗せるようにして滑るのだ。

バック系のスラローム技の完成度に大きく関わってくるのも、腰骨である。

腰骨が進行方向に対して90°横を向いて、腰骨の横に出っ張っている部分が進行方向に向くようにする。これによって、足を前後に開いた状態をキープしやすくなり、また上半身の回し込みも楽になるので、進行方向の視界が前向きで滑る時と同じ状態できる。(参考動画:横向き正面

この腰の回し込みが甘いと、バッククロスで足を開く度に、ブーツの前後差がなくなって揃ってしまったり、十分に後ろを振り返れず、これから通過するパイロンがしっかり見ることができない原因となる。これではなめらかに滑る以前の問題である。

スラロームをする上で、他にも腰の使い方が重要なポイントになるのだけれど、それは次回に。

《高田健一》

ライター