column
コンシエルジュの閑話休題

【 第20話 | 2014.11.5 】

なめらか&軽やか 上半身先行編《1》

上半身先行。

もう耳タコ状態の人もいることでしょう。でもインラインスケートで『曲がる』『回る』をする限り、どうしたってついて回ってくること。だから、当然、どのジャンルの人も行っている動作なのだけれど、ことスラロームに関しては、この『上半身先行』がやりづらいと思うのだ。

通常、上半身先行と言う場合、これから進みたい方向を見るようにするはず。その方向が左右のどちらかの方向なら、目で見ながら頭も回す。頭が回り始めたら、その方向に胸を向けたり肩を回すようにする。これがいわゆる基本的な上半身先行動作。(参考:8の字 フロントクロスオーバー

だからホッケーならパックやゴールなど目標となる物や場所を見ながら滑る(もちろんバックスケーティングなど例外もある)し、街中のクルージング(シティランやロングランなど)の時もこれから行きたい方向を見ながら滑るので、自然と上半身先行動作となる。

ところがスラロームはと言うと、進行方向は直進で、パイロンが左に曲がって並んでいるなんてことはない。それなのに、瞬間的に小さいターンやスピンをしなければならないから、急で極端な上半身先行動作が必要となる。ホッケーや街乗りなど違って、自然な流れからの上半身先行の動きとはならず、無理矢理に上半身を回すことになるから厄介なのだ。

しかしこれを克服しないと、バタバタ&ギクシャクした動きから脱することができない。なめらか&軽やかな滑りには程遠いままだ。

では、どうしたら良いのだろうか?

僕自身が心掛けていることは2つある

その1つは『柔らかい上半身』。

上半身の力を抜いて滑るのだ。

滑る時に上半身が力んでいると、反応が遅れやすくなる上に、肩の回し込みも浅くなりがち。そこで、膝を柔らかく保って滑るように、常に上半身も力まず適度に力を抜いて滑る。

その柔らかい上半身を可能にする滑り方の1つとして、第18話第19話で書いた腰骨で荷重する方法がある。

重心を足に乗せて荷重する時に、上半身ごと乗せようとすると、どうしても胸やお腹付近を意識するあまり力んでしまい、上半身全体が硬くなりやすくなる。そこで、腰を乗せるのだ。重心移動や荷重を意識する時は上半身ではなく、腰骨あるいはお尻やおへそを荷重するウィールに乗せるように意識すると、背中や肩から余分な力が抜けて、柔らかい上半身を作りやすくなる。

そしてその柔らかい上半身で回転技を行う。頭から回し込み始め、次に肩、腰、足と、上から順番に回るようにイメージする。イメージするだけで、実際はそれほど意識して滑る必要はない。

人間の体はねじれたら元に戻ろうとする。そのため回転したい分だけ頭を回すようにして、回転を止めたい場所で頭を止めて肩も止める。そうすると、少し遅れて足が回ってきて、最終的に頭から足まで向きが揃って回転が終わるという訳だ。極端な話、バランスが崩れなけば、肩が回った分だけ足も回る。実際は頭も肩も腰も足も全部同時に回っているように見えてしまうが、頭と肩を先に回し込む感覚で回ることが大事。この時に上半身に力が入ってが硬くなっていると、それがうまくいかない。

技によって例外もあるが、基本は上半身から無駄な力を抜いておいて、まず頭と肩から回し込むようにして、後から足がついてくるように、上半身先行を意識した回転技を行うのだ。

そして心掛けていることのもう1つは、次回に!

《高田健一》

ライター