column
コンシエルジュの閑話休題

【 第36話 | 2015.2.27 】

三拍子+ひと癖あるフレーム《1》

21年間いろいろなギアを使ってきた経験を踏まえて、自分好みのギアを語るこのシリーズも、そろそろ終わりが見えてきました。

ということで、大トリを迎える前のトリは、将棋で言うところの飛車角に当たるくらい重要なギア、フレームについて!

僕がインラインスケートを始めた頃は、どのブーツもフレームはリベットでガッチリ固定されていて、交換するなんて考えたこともなかった。

しかし95年頃、インラインホッケー用フレーム、SURE-GRIP『H-400』を知る。何色もあるメタリックカラーの中から好きな色とサイズを選び、好きなホッケーブーツに取り付けるのだ。リベット留めだから、気軽に交換できるものではないけれど、自分もCCMのアイスホッケーブーツにこのフレームを取り付けてもらった。これが僕の初めてのフレーム選び&交換で、確か1997年初頭のことだったと思う。

ちなみに自分が選んだのは、唯一金属感がまったくない白。いろいろと下手だったので、派手な色を選ぶのは気後れして、安くなっていたこともあり、一見すると樹脂製に見える真っ白なH-400を選択したのだった。

それから5年後には、ジャンル問わずフレーム交換可能が当たり前となり、ブーツとフレームの様々な組み合わせが可能になった。そうなってくると当然いろいろ試してみたくなり、スラローム用やアグレッシブ用などのフレームを国内外から買い集め、その結果、今や手元にフレームが何本あるのか不明な状態に。(笑

さて、僕のフレームの好みはと言うと、
  ● 短めの長さ
  ● 硬めの材質
  ● 高精度
の3条件が揃っているものが最低条件。

短い方が小回りが利いて操作しやすく、硬い方が反応が良く、精度が良いとベアリングがスムーズに回転する。つまりこの三拍子が揃っていると、滑っていてとても心地良いのだ。これはスラローム用でも、アグレッシブ用でも同じ。

この3つの他に、さらにプラスαの何かが加わると嬉しい。

それでは、具体的に何のフレームが好きかと言うと……。

まずはスラローム用フレーム。

正直言って、かなり出回っているSebaのDelaxe Framesの品質は悪くない。それどころか、2014年までの価格なら、TwincamのILQ9クラスのベアリングまで付属してるのだから、かなりコスパが良いものだろう。しかしながら、普通に高品質なだけで際立った特徴がないなめ、つまらなく感じてしまう。(笑

そこで、僕がプラスαを感じるこだわりの2つを。

Sebaのライダーやアドバイザーをしていた時を除いて、韓国遠征時に買ってきたViper (現Freewavex)の『Sidewinder』の231mmか237mmをずっと愛用していた。驚くほど精度が良いからベアリングの回転がまったく抵抗がないくらいスムーズで、金属自体の質感も良く、本当に気持ち良い滑りを約束してくれる。しかも頑丈だから、何年使っても品質が劣化することはなく、半永久的に使い続けられるのではないのかと思えるくらいだ。

このSidewinderはもう販売されていないけれど、凝ったデザインの後継モデルがFreewavexから時々リリースされている。

今、メインで履いているSeba High Lightに付けているのは、Powerslideの『Alpha Mag 231』。昨冬、正規代理店のDeeportに頼んで取り寄せてもらった。

この製品はマグネシウム合金製なので、フレームとは思えない軽さの上に、硬い。そして精度が高く、耐久性もある。しかも、シャフト位置がロッカリング仕様のタイプなので便利。

ところが、SebaのブーツとPowerslideのフレームは相性が悪いことがある。サイズの組み合わせによっては、Seba純正品と同じように、前後左右の中心に取り付けるのがほぼ不可能なのだ。御多分にもれず、ブーツのサイズがEU39の自分もその罠にハマった。そこで仕方なく、左右はセンターをキープして、前後の位置はセンターより5〜6mmくらい後ろに取り付けることに。

しかし災い転じて福となすとはこのことで、この取り付け位置がかなり絶妙なのだ。かかと側が出ているので普通に滑る時は243mm並の安定感があり、一方、つま先側が引っ込んでいるのでスラロームをする時は今まで以上に小回りが利くという、今の自分にとって、これ以上ないくらい取り回しやすいセッティングとなった。これは全ての面で過去最高のスラローム用フレームだ。

フルフラット仕様かもしれないけれど、現在、Deeportの通販サイトにこの『Alpha Mag』が並んでいるので、興味がある人はぜひ使ってみてください!

次回はアグレッシブフレームについて!

《高田健一》

ライター