column
コンシエルジュの閑話休題

【 第37話 | 2015.3.5 】

三拍子+ひと癖あるフレーム《2》

前回に引き続き、こだわりのフレームの話ですが、後半はアグレッシブフレームについて。

4年くらい前にアグレッシブに復帰してから、アグレッシブフレームも気になったものをいくつか試してみた。

結論から言うと、アンチで使えば、どれも良くグラインドしてくれるし、精度が悪くてベアリングが回らないということもなかった。ただ、アグレッシブ用のフレームはスラローム用のものより1つ1つに個性があり、カラーバリエーションも種類も多いから、スラローム用以上に選ぶ楽しみがあって嬉しいんですよね!

さて、ロッカリングできる構造が気に入って買ったら、樹脂自体の材質が硬く、ワックス禁止のパークでもグラインドが速かったのが、Kizerの『Slimline』だ。

フレーム側の金属製スペーサーを上下反転させることよって、全輪2mmロッカリング可能な、今時にしては珍しい機構。2・3輪は最大59mmまでのウィールしか入らないので、このロッカリング機構もアグレッシブでウィールを効率的に使うため。ところ2・3輪を下げると、スラロームがやりやすいロッカリング設定にできてしまうのだ。しかもSサイズの1〜4輪間のフレーム長は244mmで、取り回しやすい長さ。フルフラットで遊びつつ、スペーサーを逆さにすればスラロームでも遊べる。

もちろんフレーム自体の性能も優秀。硬めの樹脂なので、ワックスが塗られていないコーピングやレッジでも、グラインドが速い。逆にワックスが塗られている所だと、初心者はツルッと抜けそうで怖いくらいだ。

2〜3輪間も広めで、耐久性も十分。硬い感触の当たりが嫌いでなければ、かなり使えるフレーム。若干改良されたSlimline 2も発売直後に入手したくらい、自分にとってお気に入りのフレームだ。

予想外に良かったのが、Sebaのアグレッシブ用フレーム『Team Frames』。後発だけに、研究し尽くしてきた感じだ。

材質はGCのFeatherliteやYouthと同じ系統で、当たりに少し柔らかさがあるものの、グラインドは速い。さらにSlimlineのように2・3輪間のスポットが広い。金属製のフレームスペーサーを使っているから、ウィールの回転も良い。全輪最大64mmが入る上に、全輪ロッカリングが可能。と言うことは、ホッケーのゴーリー用ウィール(59mmの76A〜82Aがほとんど)を入れてロッカリングさせれば、車高が低いので安定性が抜群な、結構快適にスラロームができる仕様のフレームとなる。(笑

スラロームで使うかはどうかはさておき、良くも悪くも、現在発売されているフレームのいいとこ取りをしたような製品なのだ。使い込む前にアグレッシブから遠ざかってしまったが、かなり良質なフレームであることは確かだろう。

ちなみに現在、USD Carbon 3には『Slimline 2』がフルフラットで、USD Carbon 2にはYouthの『Airliner Frame』がアンチのセッティングで付いている。今はこれでとても満足なのだけれど、Create Originalsの『CRS Frame』を入手したら、この牙城が崩される気がしている。

さて、最後にひと言。

スラローム用もアグレッシブ用も、実はSebaが良いフレームを作っている。ただ一方で、優等生っぽくて特徴がないために、物足りなく感じてしまうことも否めない。人と同じで、ギアもやっぱり少しやんちゃな方が魅力的だったりする。

そこで、少し値段が高くても、こだわって尖った特徴を出しているフレームに手が伸びる。例えばスラローム用なら超軽量を謳う『alpha mag』をわざわざ取り寄せてもらうとか、アグレッシブ用ならまだ吉と出るか凶と出るかわからない、新機構搭載の『CRS Frame』にクラウドファウンディングで出資して早期入手を図るとか。

その他には、普段スラロームで使っている231mmに近い長さのフレームを付けたホッケーブーツをどうしても履きたかったので、日本で入手できなかったLabedaのXSサイズのフレームを、学生時代のツテを辿って2ヶ月以上の時間を掛けて米国から運んできたりも。

フレームは、ブーツと同じくらい操作性や技のやりやすさに直結するギア。こだわって選んだベアリングの性能を引き出せるかどうかはフレームの精度によるところが大きいし、ストレスなく快適に技ができるかどうかに大きく関わってくるので、良いフレームで滑っていると最高の気分で滑りを楽しめる。だから『硬さ』『長さ』『精度』に満足できた上で、今以上に自分の滑りのスタイルにフィットするひと癖あるフレームに出会えないかと、ついついいろいろ買って試したくなるんです。(笑

《高田健一》

ライター