column
コンシエルジュの閑話休題

【 第39話 | 2015.3.19 】

スケートブーツは性能とスタイル《2》

前回に引き続きこだわりのブーツの話。

そして、こだわりのブーツと言えば、今年の1月に東京のメジャースケートで、無理を言って組んでもらったブーツは外せない。第13話で話した念願のブーツを入手したのです!

スニーカーで有名なReebokがホッケーブーツを作っていて(実際に製作しているのはCCMらしい)、そのReebokの『Ribcor』というアイスホッケーブーツに、米国からやっとのことで取り寄せたインラインホッケー用フレーム、Labedaの『Hum'er II』の、本来はジュニア用のXSサイズ(1-4輪間:233mm)を取り付けるというもの。つまり何をしたのかと言うと、スラローム仕様のホッケーブーツを組んだのだ。

前回の冒頭にも書いたが、ホッケーブーツは僕のこだわりのブーツ8ケ条を満たしているブーツだ。そこでスラロームで使い慣れている231mmの長さに近いフレームに換装して、同じ8条件を満たしつつも『Seba High Light 』とはまったく違うタイプのブーツで、スラロームを楽しもうという魂胆で組んでもらった。

ホッケーブーツの最大の利点は、自分の足に馴染んだ時のフィット感。ウレタンでフィット感を調整している一般的なブーツとは大きく異なり、当たりは柔らかくないが馴染むと無駄なくピタッと足にフィットする。バックル類は一切なく、全て靴ひもで締めるのだが、11個の穴ごとに締め具合を決められるから、どこをきつくしてどこを緩くするかは無段階で自在に調整できる。また、ブーツ自体は耐久性を持たせるためにかなり硬いが、熱成形すると完全に自分の足型になるので痛みは皆無。だから必要な箇所の靴ひもを締めただけでも、かかとが浮くことはない。そこに加えて、Reebokの代名詞的な『Pomp』で空気を入れると、かかとがビタッと固定される。余計な遊びもなければ痛くもない、自分の足にジャストフィットして包まれているかのようなブーツで滑るのはストレスがなく、本当に最高なんです!

ちなみにフレームの位置は、横幅に対してはセンター、縦は若干後ろ気味と、今の自分好みに取り付けられている。

重量はフレーム込みで片足750g。Seba Highの60%の重さしかなく、超軽量! 誰が持ってもすぐに分かるこの軽さは、楽チンさにも直結する。

唯一の欠点は、1輪目に乗ってつま先立ちをすると、ハイバックがふくらはぎに触って少し邪魔に感じることくらい。とは言え、トゥトゥスピンなどは普通にできるし、そもそも僕はトゥ立ちになる技はあまりやらないから、ハイバックは大きな問題にはならない。その一方で、カフがないから足首周りに余計な干渉がなく、足首が自由に動かせて非常に快適だ。

とにかく軽く、フィット感も反応の良さも抜群、フレームも取り回しやすいから、これからが履き込んでいくのがとても楽しみなブーツだ。もちろんデザインがかっこいいのは言うまでもない。そして何よりも、おそらく世界中に1足しかないであろう、完全に自分仕様のブーツで滑るという高揚感はたまらない。(笑

アグレッシブをするのなら、ソールが広くて頑丈なアグレッシブブーツから選ぶべきで、特殊な事情がない限り異論はないはず。

しかしスラローム、特に1.5m間隔のトリックスラロームをするのなら、極論を言ってしまうと、何のブーツでも良いと思うのだ。前回、餅は餅屋と言ったけれど、ある程度の技量が備わってきたら、何を履いてもそれなりに滑れてしまうはず。そこで例えば、Sebaなどのスラローム向きのブーツで基礎をしっかり身に付けたら、多少操作性が劣ってもご愛嬌、自分がカッコいいと思うこだわりのブーツで滑り、ギアからも自分のスタイルを打ち出していくと、別の角度からも楽しめると思う。そして僕は今、ホッケーブーツでスラロームを楽しんできる人なんて見掛けないから、東京ドームのローラースケートアリーナでは、敢えてスラローム用に組んだホッケーブーツで滑っている。このように『スケートに乗る』ことができるようになると、滑りの上達に影響なとするだけでなく、ブーツの選択の幅もぐっと広がるのだ。

スラロームを続けていて、周りのスケーターと同じSebaやTwisterをずっと履いているというのも、何だかつまらないと思う。いろいろな人から見られる街乗り(CR)などの場合も同じで、本当に今履いているブーツが、自分の街乗りのスタイルやファッションにマッチしているだろうか?

インラインスケートはギアスポーツなのだから、数多くのブーツの中から自分好みのブーツを見つけ出して、自分なりのインラインスケートを楽しんでください!

《高田健一》

ライター