column
コンシエルジュの閑話休題

【 第41話 | 2015.4.3 】

初めてのインラインスケートブーツ購入へのアドバイス《1》

4月に入り、もうそろそろ、インラインスケートの各メーカーの新商品が出揃う頃。そこで、これからインラインスケートを始めようと思う人がどれだけこのコラムに出会えるかわからないけれど、当サイトの管理人が考える初めてインラインのブーツを買う時のアドバイスを書こうと思う。

以前、あるショップの店員さんがアグレッシブを始めたくてワクワクしてショップに来た男の子に、
「滑ったことがないのなら、まずはフィットネスブーツを買って普通に滑れるようになってから、改めてアグレッシブブーツを買いなさい」
といった話をこんこんとして、男の子のモチベーションをガタ落ちさせて帰らせて行ったという話を聞いた。自分がその場にいた訳ではないので詳しい状況や雰囲気は分からないが、これはちょっと残念な話だと思う。

確かにこの店員さんの言っていることは、至極真っ当な正論だ。僕もできることならフィットネスブーツで基本的な滑りを練習することから始めべきだと思う。しかし、アグレッシブがやりたくてウズウズしているなら、基礎スケーティングの必要性とアグレッシブブーツの滑りにくさを説明した上で、アグレッシブブーツを買ってもらっても良かったのでは?とも考える。そしてローレールやミニランに入ってみて、普通に滑れないと話にならないのが分かって改めて相談に来たら、安いフィットネスブーツを勧めてみるだけでなく、PBフレームと72〜80mmのウィールを勧めてみるなど、今なら買ったブーツを利用した解決方法もあるからだ。

ちなみに『フィットネスブーツ』とは、普通に滑ることを楽しむためのオーソドックスなブーツのことで、価格が上がると履き心地が向上したり、スピードが出しやすい仕様になっている。

何にせよ、僕としてはできるだけ多くの人に、履くと気分の上がるブーツでインラインスケートを始めて欲しいと思っている。インラインスケートは手軽に非日常的な風景や感覚を楽しめるのだから!

とは言うものの、インラインスケートを楽しいと思うかどうかは人それぞれ。そこでブーツ購入の前に、レンタルブーツを用意しているスケートリンクや練習会に行って、試しに滑ってみてはどうだろうか?

とりあえず2時間も滑ってみれば、続けたいかどうか分かるはず。そして『もっと滑りたい!』と思ったら、そこのスタッフに質問するといろいろ教えてくれるだろう。団体や人によって、得意なジャンルや不得意なジャンルがあるけれど、基本的なことや最初に知っておくべきこと(滑走場所、ショップ、初めの練習方法など)はだいたい教えてもらえると思う。そして、諭吉さん3人とお別れしてでも自分のブーツが欲しいと思ったら、いざショップへ!

ちなみに、商用リンクで貸し出ししているブーツより、専門店で売られている最低ランクのブーツの方が何倍も滑りやすかったりするので、リンクのレンタルブーツを借りる際はそこを差し引いて楽しんでください。(笑

自分のスケートブーツの購入を決めたら、品揃えが豊富なショップに行っていろいろ試し履きをした上で、とにかく履くと気分が上がるブーツを買うことをお勧めしたい。

すぐにでもやりたいジャンルがあって、そのジャンル専用ブーツでないと履いても気分が上がらないというのであれば、それを買うのもありだと思う。ただ繰り返すけれど、どんなに安くても、最初はきちんとしたメーカーのフィットネスブーツが滑りやすいし、基本的な滑りの練習がやりやすい。

最初からスラロームがやりたくて1足目からSebaのブーツを買おう思っていたとしても、『第5話 Sebaは『1足目』を履きつぶしてから《1》』と『第6話 Sebaは『1足目』を履きつぶしてから《2》』に書いた通り、フィットネスブーツから始めた方が良いのは同じ。ただ、Sebaなどのスラローム用ブーツは、アグレッシブブーツと違ってそのままでも基礎スケーティングの練習が可能なので、ブーツの硬さや短いフレームが大丈夫そうなら、初めからSebaのブーツの購入しても大きな問題にはならないと思う。

フィットネスブーツでも、一番前と一番後ろのウィール(車輪)を真ん中の2つより直径が4mm小さいものに交換すれば、接地部分が1/3になってかなり小回りが利くようになる。そのため基本的な滑りを覚えたら、スラローム用ブーツを買う前にそうやって対応する手もある。この4mm差を付ける方法を『ロッカリング』と呼び、スラロームをする人たちの間では最もポピュラーなウィールのセッティングとなっている。

もしインラインホッケーをやりたいのなら、この場合は例外的にホッケーブーツの一択。カフがないから足首がぐらつきやすいけれど、むしろ慣れてくるとスケーティングがやりやすく、飛んでくるパックから足を守ってくれる作りになっているので、最初からホッケーブーツを買うべきでしょう。

一方、最近のアグレッシブ用ブーツは、直径56mm程度の小さいウィールが片足に2個しか付いていない状態で売られていることがほとんど。これはアグレッシブの醍醐味の一つであるグラインドがやりやすい、『アンチロッカリング』あるいは『アンチ』と呼ばれている仕様なのだけれど、初めてインラインスケートをする人にとっては、この仕様のブーツだとなめらかに滑らないし曲がらないと感じることが多い。

もちろんきちんとした人に指導してもらったり、履き続けて慣れてしまえば、問題なく操作できるようになる。しかし指導を受けられる環境にない場合、そこまでのスケーティング技術を身に付けるには、72mm以上の4輪が入ったブーツで練習した方が上達が早いはず。そのため、僕も冒頭に出てきた店員さんと気持ちは同じで、最初はできるだけフィットネスブーツで滑る基本を練習して欲しい。

とは言え、どうしてもアグレッシブブーツを履かないと気分が上がらないのなら、ベストはまずパワーブレーディング用のフレームとそのフレームにあったサイズのウィール(直径72〜80mm)に付け替えて練習する、あるいは2輪を全て同サイズの4輪にするだけでも操作性が変わるはず。

さて次回は、『フィットネスブーツでも十分気分が上がって楽しく滑れるよ!』という人のために、管理人的買うべきフィットネスブーツを選ぶポイントを具体的に書いていきます!

《高田健一》

ライター