column
コンシエルジュの閑話休題

【 第42話 | 2015.4.3 】

初めてのインラインスケートブーツ購入へのアドバイス《2》

前回、インラインスケートを始めるのなら、インラインホッケーをする場合や履くと気分が上がるブーツが限定されている場合を除いて、まずは『フィットネスブーツ』と呼ばれている基本的な滑りを楽しむためのブーツを買って、滑る練習をした方が良いという話をした。

そこで後編となる今回は、具体的にどんなブーツを選んだら良いのかを書いていこう。

まずメーカーは、2015年現在、足首回りを支えるサポート力が高めのRollerbladeやFILAがお勧め。

Rollerbladeはさすがインラインスケートの代名詞となる老舗だけあって、フィットネスブーツは基本的なところをしっかり押さえた作りになっている。FILAのブーツは元々コストパフォーマンスが良かったのだけれど、5〜6年前にブーツの作りがガラッと変わって履き心地が格段に向上し、一気にお勧めメーカーになった。

有名なK2のブーツはスニーカー的で履き心地が良いのだけれど、その分柔らかい作りになっているので、内股気味の人や足首の力が弱い人は避けた方が無難だと思う。

次に価格帯について。

初めて買うフィットネスブーツなら、はっきり言って一番安いもので構わない。もちろん高いブーツの方が高性能だけれど、足型やデザイン的に問題なければ、インラインスケート専門店やスキーショップなどで販売されている最安の2万円程度のもので十分に滑りを楽しめる。最初は安いブーツを買い、練習していくうちに『もっとここが優れたブーツが欲しい!』とか『このジャンルをやってみたい!』とか思うようになったら、その時点で自分が望むブーツに買い換えると良いと思う。

ちなみに型落ちとかでなく、量販店で大人用のブーツで1万円程度で売られているものは『スポーツ用品』というより『おもちゃ』に近く、良く『トイスケート』と呼んだりする。全体的に作りがあまり良くなく、楽しく滑ることができないこともあるのでお勧めはしません。

ではフィットネスブーツ本体を見ていこう。選ぶ時の大きな注意点として、フレームの位置とウィール(車輪)の大きさがある。

フレーム位置は、ブーツを正面から見てセンターに付いているものが滑りやすい。時々ブーツの少し内側にフレームが付いているものがあるので、買う前に確認して欲しい。つま先部分の最も出っ張っている部分とウィールのセンターが同じなら、だいたいOKだ。フレームが内側に付いていると外側に倒れやすくなり、特にスラローム技で悪い癖が付く原因になる可能性があるので、今後スラロームをやりたい人は特に注意する必要がある。

ウィールの大きさに関しては、できれば直径80mm以下が良いと思う。ウィールの径が大きくなればなるほどスピードが出やすいが、その反面、車高が高くなって重心も高くなり、ブーツ自体が不安定になりやすくなるのだ。昔は直径が72mmや76mmのウィールがポピュラーだったが、最近はフィットネスブーツの大口径化が進んで90mmも普通になってきている。90mmと言うと少し前までは最も大きいウィールのサイズだったし、100mmなんて限られたスピードスケーターでなければ乗りこなせないと言われていたサイズだ。なので、これからインラインスケートを始める人は、できるだけ80mm程度のウィールが付いたブーツを選んで欲しい。

スペック的な性能に関しては、RollerbladeやFILAなどのメーカーなら、最低ランクのブーツで十分楽しめる装備になっている。もちろん、上を見たらキリがないが、今はどんなに安くてもメーカー品ならウィールもベアリングも最初からそれなりのものが入っているので全く問題ない。

ただその一方で、ブーツの履き心地は少しこだわって、予算が許す範囲のブーツをいろいろ試し履きした上で、自分の足に最も合うものを選んで欲しい。サイズは大きすぎると操作性の悪化や靴擦れの原因になるので、できるだけジャストサイズが良く、サイズ表記に惑わされることなく、つま先が窮屈にならない程度のサイズを選ぶと良いでしょう。最近のブーツは昔のブーツに比べて格段に履き心地が良くはなっていても、それでも足型は人それぞれなので、必ず足を通して痛くなりそうなところがないブーツを購入して欲しいと思う。

もし予算内で履き心地が同レベルのものが複数あったら、パーツのスペックではなく、気に入ったデザインの方を選ぶべき。ウィールやベアリングは後から交換できても、デザインは交換できないのだから!

ここまでの話をまとめると、できればメーカーはRollerbladeかFILAがベストで、フレームの位置やウィールのサイズに気を付けつつ、足が痛くならなそうなブーツを探して、迷ったらデザインが良い方を選ぶ。

そして購入前に、履くと気分が上がるかどうかを自問して、『上がる!』と心から返答が返ってきたら、それがベストな1足目のブーツでしょう!

えー、ここまで語っておいてなんですが、実は、以前Rollerbladeが販売していたスキーブーツのような3点バックル式のブーツが、僕が知る限り最高の初心者向けブーツだと思ってたりも。販売されていた当時は初心者向けという括りで販売されていた訳ではないので、モデルによってはけっこうハイスペックなブーツもある。しかし3点バックル式のブーツ自体が何年か前に販売終了してしまったため、もしこのタイプの自分の足に合うサイズを見つけられたら、かなり儲けものかと。

ただ、いかんせん、ブーツの基本的な形状は10年くらい変わっていなかったので、デザインがちょっと古臭く思えるかも……。(苦笑

最後にひとつ。

ブーツと一緒に必ず買ってもらいたいのが、プロテクター。手首、肘、膝が3点セットになっているものが、スケートブーツの横に売られていると思うので、それも買ってください。インラインスケートは転倒が付きもの。そして転んだ時に、すり傷や骨折などから守ってくれるのがこのプロテクター。怪我が不安な方は、さらにヘルメットやヒップパッドなども併せて購入すると良いでしょう。

せっかくブーツを買っても怪我をして滑れなくなったらつまらないですし、プロテクターを着けずに転ぶのが怖くてびくびくしながら滑るより、プロテクターを着けて安心安全な状態で思いっきり動いた方が上達も早い。そのような訳で、最初はちょっとかっこ悪いと思ったとしても、必ずプロテクターを着けて滑りましょう!

さてさて、前回から長々と書いてきましたが、これが当サイトのインラインスケート歴20年オーバーの管理人が、これからインラインスケートを始める人に話したいことの全てです。 この内容が絶対とは言いませんが、ブーツ選びのひとつの目安として心に留めてショップに行き、履くと気分が上がるブーツと出会い、楽しくインラインスケートを始められることを祈っています!

《高田健一》

ライター