column
コンシエルジュの閑話休題

【 第50話 | 2015.8.7 】

初めてのローテーション
〜ポピュラーな方法からノギス計測まで〜

アスファルトなどの路上で滑っていると、必ずすり減ってくるウィール(タイヤ)。

特に夏場はすり減るのが早く、安いウィールを使っていると、1日滑っただけで滑りに影響するくらい激しく消耗したりする。

そこで、ウィールを長持ちさせると同時に快適に滑るために、ウィールの配置や向きを変える『ローテーション』というメンテナンスをしましょう。

まず最初にやることになるローテーションは、ウィールの内側と外側をひっくり返す、という簡単なもの。(参照:図1のBをCの状態する)

内側が削れ過ぎると、滑走時に内股になりやすくなって『スケートに乗る』ことが難しくなり、さらにはブーツが歪んだり、足首へ余計な負荷が掛かったり、さらには上達が遅れる一因にもなりかねない。初心者はこのことに気付かない場合があるので、注意が必要だ。できればいつもウィールの外側が、内側より削れた状態で滑り始めるようにした方が良い。滑った後に毎回ウィールの削れ具合を確認して、必要に応じて内外をひっくり返してあげてください。

さて、ウィールのローテーションで昔から一般的に言われているのが、
    左の1輪目 ←→ 右の3輪目
    左の2輪目 ←→ 右の4輪目
    左の3輪目 ←→ 右の1輪目
    左の4輪目 ←→ 右の2輪目
というように各々が相対しているウィールを入れ替えるという方法だ。(参照:図2

ただし、これは全輪同サイズのウィールかつ、全輪接地のフルフラットのセッティングに適用するもの。その場合、このようにローテーションし続けていけば全てのウィールが均等に削れていくはず、というのがこのローテーション方法だ。

時間がある時にテレビでも見ながら、ベアリングの汚れを落としつつ、上記の方法でローテーションしてあげると良いだろう。もし、どのタイミングでローテーションしたら良いのか分からない場合は、ブーツを平らな所に置いて、4輪全てが接地せずに前から1輪目や4輪目が少し浮いてガタガタするようになったら、このようなローテーションしてあげると良い。

これに加えて、ウィールの内側が大きく削れている場合は、ひっくり返して内側と外側の向きを変えるようにしてください。

ところがスラロームをやり始めると、小回りを利かせるために、1輪目と4輪目を2mmほど浮かせる『ロッカリング』というセッティングにしたりする。

このロッカリングにする際、シャフトの位置が調整されているロッカリング仕様のフレームを使用するのなら、上記の一般的な方法でも問題ない。しかし通常は、直径の異なる2種類のウィールを使ってロッカリングさせているはず。その場合、上で説明した方法でローテーションを行ってしまうと、真ん中の2輪が地面から浮く『アンチロッカリング』のセッティングとなり、スラロームに不向きな極めて曲がりにくいセッティングとなってしまう。

そこで、単純に前後左右内外全てひっくり返し(参照:図3)、時々左右を入れ替えるだけのローテーションをすると、1輪目と4輪目の4個のグループと2輪目と3輪目の4個のグループ、各々のグループがだいたい均等のサイズになっていくはずだ。

より厳密なローテーションをしたい人たちは、ウィールの直径を目分量や『ノギス』で計測して、2mmロッカリングに最も近い状態、あるいは現状で自分にとってベストなウィールの順番に並び替え、必要に応じてウィールの内外をひっくり返して、ローテーションさせている。ウィールに『73.8』などと書かれていたら、そのウィールの持ち主は間違いなくノギスで測っています。(笑

実は、フルフラットのセッティングやフレームロッカリングでも、より負荷が掛かる1輪目や4輪目が削れやすいので、ウィール径をノギスで測って大きさ順に並び替えた方がベストだろう。

さてここで登場する『ノギス』という計測器具、普通の家庭にはないと思うが、100円ショップでもプラスティック製のものが売られているので、ひとつ手元に置いておくことをオススメする。マメな人は、一度ノギスで測ってローテーションをしたら、その後からノギスが手放せなくなるでしょう、たぶん。(笑

ちなみに僕がローテーションする場合、ノギス計測が面倒な時は、前後の順番をまるっと入れ替えるだけ、あるいは順番はそのままにして左右を入れ替えるだけ、という時もある。そしてウィールをフレームに取り付けた後、1輪目と4輪目の浮き具合を見て、必要であれば2〜3箇所のウィールを入れ替えて、終了。つまり、多少適当でも、それなりにウィールが均等に削れて自分が滑りにくくならなけば良い、という訳だ。

ローテーションはどの方法が正しいというものでもないので、自分の滑り癖やウィールの削れ方が分かってくれば、自分独自の方法でローテーションしていくのがベストでしょう。

ウィールのローテーション、図2のような一般的に言われている方法もあるけれど、結局は均等に小さくなっていくようにすれば良い訳であって、そのやり方は自由。内側が削れ過ぎて滑りにくい状態を作らないようにしたり、意図せずに極端にウィールが小さくならないように気を配って、自分なりにウィールの場所を入れ替えてあげればOK。

あとは、シャフトやネジが緩んでいないか、ベアリングの内部にホコリや錆びがないかなど、各パーツの状態を確認する意味も含めて、できるだけこまめにメンテナンスをして、そのついでにローテーションもしてあげるようにする。そうすると、ウィールやベアリングも長持ちするし、滑りやすい状態をキープできるので、技術の上達を妨げる要因を早めに取り除くことができ、良いこと尽くし。

ウィールもそこそこ高価なパーツなので、ぜひ面倒くさがらずにやってください!

《高田健一》

ライター