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コンシエルジュの閑話休題

【 第28話 | 2014.12.26 】

両足技を強化するための片足練

僕は 『両足接地の技の完成度を上げるために、その片足バージョンを練習する』 という強化練習をすることがある。

例えば、 “フロントパラレル”を上手く滑れるように、左右両足の“フロントワンフット”を滑り込むのだ。

もし可能ならワンフットで漕ぐ練習までできれば、両足のアウトエッジ側も使う滑りを覚えることとなる。そして両足接地でワンフットより安定感のあるパラレルでは、ターン時にアウトエッジ側の内足にしっかり乗れるようになり、以前より小回りや加速することが可能となって、格段に上手く滑れるようになる。

もちろん練習するのはスラローム技に限らない。

ジャンルに関係なく、手っ取り早く滑りの安定感を向上させるものとして、“ハッシュ”の1つとして紹介している8の字の“前向き内足半円”がある。普段、あまりアウトエッジに乗り続ける練習をしていないだろうから、この練習で片足時にアウトエッジに乗ってもグラつかず安定して滑れるようにするのだ。ワンフット系が安定するだけでなく、瞬間的にアウトエッジ乗りになって不安定だったポイントが安定し、流れ全体の完成度が上がるはず。さらにバック版の“後向き内足半円”も練習すると、バック時の安定性がグッと上がる。

他にも、僕がオススメしている『クイックかつ安定したスイッチ技』を修得するための練習メニューも同じ原理。

片足での連続トランジション(片足ツイスト)、片足静止、片足横跳びなど、片足時の安定感を鍛える練習する。そしてそれらが確実に安定してできるようになれば、当然両足接地時なら片足時と比べものにならないくらい安定する。さらに通常では過剰気味になった安定感は、連続回転などで体勢が不安定になりやすい時やハイスピードでの滑走中に回転する時など、上体が不安定なりやすい時にきっと役立つはず。

ちなみに、スイッチ技を行う時は抜重をして、その間に足を踏み変えたり、切り返したりすることが多い。つまり『荷重→抜重→荷重』を軽く瞬間的に行っているのだ。ジャンプも同じく『荷重→抜重→荷重』を行っていて、 違いは、抜重の時に『大きな動作=ジャンプ』をして、着地時が不安定になりやすくなる点だ。

そこで片足や両足での『荷重→抜重→荷重』の安定感を得るために、 飛び幅が10〜20cmくらいの小さい『片足横跳び』を練習するとその効果が見込めたりする。

いずれにしても、片足の状態は不安定なことが多い。だからこそ練習をするのだが、無理は禁物。怪我をしては、何のために練習しているのかわからない。うまくできる時は、ふらつくことなく、あっさりできるもの。あくまでも練習なのだから、バランスが崩れそうになったら粘らず、すぐにもう一方の足を着くように。

少々スパルタ的な練習方法なので、試してみる方はくれぐれも無理せず、少しずつできるようになっていくのを楽しみながら、気長に続けてみてください。

《高田健一》

ライター